モーターショーに行って実感した「若者のクルマ離れ」を調べてみた
最近「若者のクルマ離れが進んでいる」という話をよく耳にします。若者の欲しいものランキングに車が入らないということのようなのですが…、なくても生活できる世の中になってきているのも事実です。確かにモーターショーに長年行っていて感じるのは「最近は若者の来場者が少ないな」ということです。若者の車離れについて、社会環境や生活環境の視点から原因や改善策を考察してみたいと思います。そして筆者の経験から「クルマがある生活はこうしたら送れる!」というものも紹介します。
免許取得歴:20年以上 今乗っている車種:Nissan Skyline(中古で購入) …
- 0
- 962
- 投稿日:2018-9-27
若者のクルマ離れの現状
「若者のクルマ離れ」という話題が出るようになって数年が経過していますが、今もなお、若者のクルマ離れという現象は続いていると感じます。
筆者が先日訪れた東京モーターショーにおいても、40代以上に見える来場者が多く、20代・30代のいわゆる「若い世代」は明らかに少なかったのです。
20年以上毎年東京モーターショーを見に行って思うことですが、どうも若い人の興味は、車よりもむしろコンパニオンの方々や、デジタル一眼レフへのこだわりに移行している、そんな印象もあります。
気になったので、若者の車離れについて調べてみると、平成24年の国土交通省発表の資料に若者のクルマ離れについて書かれたものがありました。
この国土交通白書では、20代・30代にある者を若者と定義していて、その中で
- 若者の免許の保有率が昔と比べて減少傾向
- 若者のクルマの保有率も昔と比べて減少傾向
という分析がなされていますので、データからも若者の車離れは昔よりもあるといえるのでしょう。
この資料と照らしながら、私なりに若者のクルマ離れの原因から、車離れを改善する策はあるのか?考えてみました。
クルマ離れの原因だと考える5つ
- 購買力の低下とクルマの維持費の高さ
- 都市では車が不要だということと都市部への人口集中
- 将来的に車は欲しいが今は買えないという現実
- 趣味の多様化
- 買い替えペースが長期化
若者の購買意欲の低下とクルマの価格帯
ここ数年の経済の低迷や、新卒での就職の難しさ、また全体的な低所得化などの社会問題があります。
そうしたことからか、20代・30代の若者は「将来に備えて貯蓄をする傾向」や「ローンを好まない傾向」があると分析されています。
そこから考えても、現代の若者(20-30代)はローンをしてまで高価な車を買いたいという意向が少ないことがわかりますよね。
また、白書の中でも指摘されていましたが、就業形態も多様化していて安定的に毎月趣味に使えるお金が少ない人が増えていることも車を買わないことの理由の一つかと思います。
参考:国土交通白書 2013
以前、インドのタタ自動車が、ものすごく低価格なクルマを作って世界を驚かせたことがありました。
この波は世界に波及するかと思いきや、少なくとも日本では車は安い買い物ではありません。
10年ほど前は、100万円程度でも普通乗用車のコンパクトカーが買えたと記憶していますが、今では軽自動車でさえがこれ以上の価格で売られています。
若者とって「低価格のクルマ」、「ちょっと無理をしても欲しいと思えるクルマ」が見当たらないという、日本の車の市場にも若者の車離れの一因がありそうです。
都市では車が不要だということと都市部への人口集中
もう何十年も言われていることではありますが都市部への人口集中が進んでいます。
都市部のような公共の交通機関が発達したところに住むようになると、生活に利用するだけで考えるとクルマは不要となってしまいます。
インターネットの普及やコンビニエンスストアの店舗が増えて買い物をするのに困らない社会になっています。
その影響もあり、特に都市部では必ずしも車がなくても生活に困らなくなったのは事実です。
大きな重いものも、宅配や通販でなんとかなってしまいますから、スーパーから車で運ぶ必要がありません。
つまり、車が無くても生活できる場所に人が多いので車を買う人が少なくなるということです。
将来的に車は欲しいが今は買えないという現実も
若者の自動車保有意欲についても、「いずれは保有したい」という意向自体はあるものの、現在は経済的な理由等により自動車を保有することが難しく、購入を後ろ倒しにしていることから、若者の自動車保有率が落ち込んでいると見ることもできる。
参考:国土交通白書 2013
白書にはこのような一文が見つかり、「若者が、若者ではなくなる40代意向には車を欲しいと思っている」こともわかりました。
若者の車離れは、車が嫌いな人や運転したくない人が増えたわけでは無く、「車が欲しいけど今は買えない」ということが大きな理由といえるでしょう。
趣味の多様化も一因
筆者は1977年のスーパーカーブームを体験しました。
当時小学生だった筆者は、何千万円もするような「ランボルギーニ」や「フェラーリ」、「ポルシェ」、「マセラティ」などのスポーツカーに憧れたのもです。
現在では車は趣味というよりも、燃費や広さなど実用性重視で、目的に合わせた道具という印象です。
また、スマホの普及で、ゲームやスマホの人気はすごいものがあります。
発売前から何日も並んで新しいスマホや軽量で使えるパソコンが欲しいという方は多くいても、新しい車がブームになるようなことは最近ありませんよね。
手頃で、背伸びをせずに手に入るものを趣味として楽しむ、という傾向が若者にはあるということの表れかもしれませんね。
車の買い替えペースが長期化
1台の車の保有期間も長くなっている傾向があるようです。
かつて車は「3年とか5年で乗り換えがオトク!」と考える時代があったと記憶しています。
最近の車は壊れにくくなっていて買い替えのきっかけにならないためか、現在では平均して8年で買い換える人が多いと言われています。
買い替え年数が昔よりも長いとなると当然、年間で売れる車の台数も減少傾向につながります。
車を買い替えるとなると出費がかさみますから、若者の収入・車にかけるコストの低さを考えると、今後も買い替え年数は伸びていくのかも知れません。
車離れ現象のメリットはある?
クルマ離れによるメリットはあるのでしょうか?そんな視点でものごとを考えてみました。
電車や地下鉄、バスなど、都市部で公共交通機関が発達していれば、通勤時の車が減ることになります。
この傾向が進んでいけば、都市部で社会問題であった交通渋滞問題は緩和されるでしょう。
また、車が少なくなれば都市部の大気汚染なども減少することが考えられます。
筆者の考える若者のクルマ離れを改善する方法とは
地方で暮らす若者を増やす
地方というと「いなか」という印象を持たれるかもしれませんが、都会に住んでいた人が「豊かな暮らし」を求めていなかに移住するケースが増えています。
田舎で暮らすには車が必要なことが多いので、田舎暮らしの若者が増えると若者のクルマ離れはなくなります。
筆者も以前は田舎に住んでいて、現在都会に引っ越しました。
田舎で庭付きの一戸建てに住めたことで、
- 野菜を育てて土いじりができた
- ガレージでクルマいじりができた
- 広大なフィールドでの遊びができた
と、とてもすばらしい豊かな日常を送ることができたと思っています。
筆者の夢は、将来はもっと郊外に住んで、トヨタ・ハリアーとMazda ロードスターもしくはトヨタ86の2つを所有して、日中はガレージで車いじりをしつつ、夜は星を眺めるような生活を送りたいと考えています。
そして、若者で田舎暮らしを選択する人が増えるといいなと感じています。
田舎だと車を持つことが出来る理由
筆者は群馬県に住んでいたので群馬を例にして、車を持つ生活でも問題無く暮らせることをご紹介したいと思います。
群馬では賃貸アパートやマンションを借りると、駐車場の使用料がほとんどかからず、場合によっては0円の所もあります。
東京では駐車場代というと3万円以上が相場と言われていますので、駐車場代だけでも東京と群馬では維持費がかなり変わってきますよね。
そして群馬ではどこへ買物に行っても無料駐車場があります。
田舎の多くは、渋滞箇所が比較的少なく、運転中の平均速度が都会よりも早いと感じます。
「時は金なり。」
これを考えても、東京に比べると群馬は車に乗っている時間は短くてすむので、燃料代や移動にかかる費用を比べてもおそらく群馬のほうがコストが低く抑えられると思います。
自然もたくさんあって、赤城山も近くレジャーにもお金がかかりません。
また、家賃から野菜にいたるところまでだいたいの物価が東京よりも低いので、同じ収入で考えられるのであれば群馬のほうが手元に残るお金が多いでしょう。
群馬は東京から100kmちょっとの距離があるのですが、新幹線なら50分、高速が空いていれば1時間半くらいで行き来が可能なんですよ!
車の排気ガス問題をなくすことも必要
クルマを利用することによる排気ガスなどの環境汚染問題を、ハイブリッド化やEV化・アイドリングストップ機構の促進で乗り越えようとしています。
世界には、環境の為に都市部だけクルマを乗り入れていはいけない、という規制がある都市もあります。
「郊外ではクルマを利用し、都市部に来たら専用の交通機関や特殊なモビリティに乗り換えができる。」
そんな都市構造を官民で協力して作って、車による環境汚染を改善していくのも1つのアイデアだと思います。
若者の車離れの原因は様々
若者のクルマ離れについて考察してみました。
その要因は1つではなくて、収入の面・思考の面などさまざまな原因があるとわかりました。
抜本的な改善としては、収入を上げるか生活必需品以外に使えるお金を増やす、というお金の面の解決が必要です。
また、無理をしてでも欲しい車をメーカーが作るということも必要です。
かつて筆者が憧れたスーパーカーが、現在は存在しないのかというと、決してそんなことはなく、高い技術と高い性能を持った車がたくさん作られています。
若者の誰もが欲しいと思うような、そしてちょっと頑張れば手に入れられる価格帯の車が登場することを楽しみに待ちましょう。
■こちらの記事もオススメです
このあとによく読まれている記事
クラッチのカテゴリー一覧
当社は、この記事の情報(個人の感想等を含む)及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただくと共に、必要に応じてご自身で専門家等に相談されることを推奨いたします。