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【交通環境と人口】から見る自動運転技術ークルマの事故がなくなる未来へ
事故の原因は人為的なミスがほとんど
車を運転する場合、運転操作と交通状況の把握以外にどんな事が出来るでしょうか?ラジオや音楽を聞く、同乗者と話をするくらいは出来るかも知れません。しかし、話に夢中になってしまっては事故の危険性があります。
現代の自動車事故は、そのほとんどが、事故の原因を作ったドライバーの人為的なミスです。対向車線の直進車を見落としたり、直進車との距離が把握できずに右折したり、歩行者や自転車の動きに気づかずに交差点を曲がったり、スマホやテレビ、あるいは景色などに気を取られたよそ見や脇見、疲労や病気などで居眠りやボーっとしていたりと、ドライバーが運転に集中出来ていない事が、原因の多くを占めます。
高齢化が進むのと比例して増えるドライバーの能力低下に起因する事故
そんな中、近年増えてきたのは、高齢化などによるドライバーの能力低下に起因する事故です。高速道路の出口に入った事に気付かず逆走をしたり、アクセルとブレーキを踏み違えて暴走するなど、本人が不調になっている場合や、認知症を自覚出来ずに運転して事故を起こしている場合も多く、人間が車を制御出来ないばかりか、自分の行動の制御が出来ない事による事故が問題化しています。
自動運転の実現でクルマの安全・安心をサポートしていく未来に
この対策として、ブレーキアシスト機能や車線はみ出し防止機能などのセイフティーシステム搭載車が増えて来ています。しかし、それでも人間の判断ミスや認識ミスはカバーし切れていないのが現状です。超高齢化を控えた日本を含めた先進国では、そのための更なる運転アシスト機能の開発が急務になっています。
【産業構造と経済】から見る自動運転技術
日本の自動車産業は停滞期にある
今や誰しも、日本で最も大きな企業と言えば「トヨタ自動車」と答えるでしょう。そして、日本が「自動車大国」だと知らない人も、ほとんどいないと思います。それ程、自動車産業は日本の基幹産業として重要なのですが、市場と言うのは、あの製品が一度飽和してしまうと、全く新しい機能の製品が発明されるまでは停滞してしまう性質があり、日本国内の自動車市場は、この停滞期に入ってしまっているのです。
日本の狙うターゲット市場は「新興国や発展途上国」にシフト
そういった理由から、国産自動車メーカーはこぞって海外進出をしていますが、先進国の市場は日本国内と同じ状態なため、現在のターゲット市場は新興国や発展途上国にシフトしています。しかし、それらの新しい市場は、車の走行に必要な道路などのインフラが整っていない地域も多く、市場自体が発展途上です。このため、ODAなどのテコ入れと共に、先進各国と共に市場開拓しているのが現状です。
そして、車を操作する技術や交通ルールなどの教習、ひいては車の操作知識を習得するための、識字率や教育の底上げまで必要とするので、市場の拡大や成熟のための準備が追いついていない事も、自動車販売の障壁になっているのです。
IoT時代の到来!ITの力で市場発展を急加速させる
しかし、それらのターゲット市場には、独特の市場発展の傾向があります。例えば電話は、有線回線を必要とする固定電話の普及を待たずして、スマートフォンの市場が発達しました。この様に、インフラの拡充や基礎となる条件(教育など)を要せずに、市場需要を満たす必要性が出てきているのです。その市場環境が、自動運転技術の必要性を高めている要因の一つになっています。
【社会とインフラ】から見る自動運転技術
完全自動運転には、技術的にもまだまだ様々な課題があります。しかし、高齢化を含む社会環境の変化で、自動運転技術に実現できる効果は非常に大きいものです。
大きな目的の一つに、ドライバーの判断や操作が不要になる事で、人的ミスを減らし、交通事故の減少が図れる点です。この実現は、車が免許制度に左右されずに、公共交通機関としても成立出来るため、車を利用出来る立場が、子供から老人、ひいては障害者や飲酒者にまで拡大します。
また、公共交通機関が出来ると、社会全体で車をシェア出来る環境になるため、CO2削減や道路の混雑解消、施設の駐車場の確保や、道路の拡充やメンテナンスと言った公共インフラ事業費も抑える事が出来るようになります。
自動運転技術には、この様な社会発展性が見込めるため、将来的な交通インフラビジョンが描ける期待があるのです。
自動運転技術の【現状と課題】
様々なメリットと期待から、自動運転技術の開発は着々と進んでいますが、その反面、課題も見えてきています。
信頼性とセキュリティー
その一つが、自動運転技術を支えるソフトウェアの信頼性とセキュリティーの問題です。2002年にスマートフォンの原型が発売されてから既に10年以上経ちますが、未だにそのセキュリティーについて問題が散発しています。そのため、走行環境に対応する動きを、全てソフトウエアで制御できるかどうかが大きな課題になっています。
法律的な責任所在
また、法律的な問題が絡む部分で、実際に事故が起きたときの補償などや責任所在が明確にならない点なども課題となります。
これらの課題をどう克服するかで、自動運転車の市販と普及が待たれる段階まで来ています。
2020年までの自動車メーカーの動向に注目
2020年のオリンピックに焦点を合わせている国産自動車メーカー
自動運転技術の開発が、どうしてこれほどまでに注目されているかを解説しましたが、国産自動車メーカー各社は、2020年のオリンピックを目標に、その発展に邁進しています。オリンピックが開催される日までに、どんな自動運転車が発表されるか、そして、それが日本社会をどう変えていくかに期待がかかります。
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