車のハイオクとレギュラーガソリンを入れ間違えたらどうなる?混合すると危険なの?故障する?
レギュラー車に乗っている人で、時々「エンジンのために、たまにハイオクを入れる」という方がいます。これは、普段MT車(マニュアル車)に乗っている人が、たまにAT車に乗るのと似たようなものです。逆にハイオク車にレギュラーガソリンを入れるのは、普段AT車に乗っている人が急にMT車に乗ろうとする様なものです。 燃料の性質とエンジンの関係が思い浮かばない人には、何の事かピンと来ないと思うので、少し掘り下げて解説します。
今乗っている車種:MINI…
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- 最終更新日:2019-2-28 / 投稿日:2016-11-22
目次
【レギュラー】ガソリンと【ハイオク】ガソリンの違い
これは「原油」から精製されたガソリンを、更に様々な抽出方法を通して「ガソリン基材」という、ガソリン自体の原料を取り出しており、それらは単純にガソリンと呼ばれる油とは異なる性質なのです。
そして、ガソリンスタンドで給油できるガソリン類は、そのガソリン基材の配合の調整をして販売されています。
明確な違いは「イソオクタン」の配合量の違い
その中で、レギュラーとハイオクを明確に分けているのは、「オクタン価」と言われる基準で測られる「イソオクタン」というガソリン基材成分の配合量の違いです。
そもそも「ハイオク」とは、正式には「高オクタン価ガソリン」の事で、実は略称なのです。
そして、イソオクタンという成分は、エンジン内のガソリン燃焼時にノッキングを起こしにくい性質で、これを「耐ノック性」と呼びます。
オクタン価は、言い換えると耐ノック性の事になります。また、ノッキングの原因は、エンジン内でのガソリンの異常燃焼なので、異常燃焼の起こりにくさを数値化したものとも言えます。
ガソリンは目で見て違いが解りづらいので、この解説では少々理解しづらいかも知れませんが、科学的な部分をザックリ説明すると以上の様になります。
【レギュラー車】にハイオクガソリンを入れるとどうなるのか?
結論から言うと、現在のレギュラーガソリンを入れられるエンジンでは、ハイオクガソリンを入れても、特に問題もありません。そして、高いハイオクを入れたからと言って明確な効果もありません。
先の説明で、ガソリン自体の成分が違う事を説明したので、エンジンの燃焼効率などが変わりそうな気がするかも知れませんが、科学的に証明される効果は実証されていません。
稀に石油メーカーによっては添加物が特殊な場合があり、ハイオクガソリンに添加されているエンジン清浄剤が効果を発揮してエンジン内をきれいにする場合もあるようです。
しかし、大きな効果は無いため、「たまに」ハイオクを給油する程度では、効果を実感する事は難しいでしょう。
とは言え、ハイオクを給油する事自体は特に問題はないので、石油メーカーが清浄剤の効果を謳っている場合は、お財布の中身が許すなら、その効果を期待してハイオクをマメに給油するのも、車への愛情かも知れません。
しかし、基本的には効果は期待できない事を念押ししておきます。
【ハイオク車】にレギュラーガソリンを入れるとどうなるのか?
問題ありです。絶対にやめましょう!
ハイオクガソリンの給油を指定している車は、ハイオクガソリンを燃焼した場合に、そのエンジンの性能を発揮出来ます。これは、エンジンの動作がハイオクガソリンで正常に動くように設計されているからです。
そして、その動作はコンピューターで制御されているので、誤ってレギュラーガソリンを給油すると、きちんと動作出来なくなり、前述の通り「ノッキング」が発生する可能性が出てきます。
ノッキングが出ても、直ぐにエンジンが止まる事はありませんが、ノッキングを繰り返すと、エンジンへの衝撃が繰り返されている状態なので、将来的には早い段階でエンジンの故障を招く可能性もあります。
これは、先に例示した、普段AT車に乗っている人が急にMT車を乗ろうとしている状態と同じです。
クラッチペダル以外の動作は出来ても、クラッチを踏んでギアを1速に入れた後、ブレーキを放してアクセルを踏みながら、クラッチペダルから足を離してギアを繋ぐことは、なかなか上手く出来ません。
これと同じ事が車でも起きているのです。
これを人に例えると、車のコンピューターとエンジンの動作は、人間の脳と体の動きの様な関係なのです。
人間は体を動かす時には必ず脳を使っています。普段意識せずに行っている「歩く」「息を吸う」などの行動でも、脳が指令を出しているのです。なので、脳に障害を負うと体が動かなくなるのです。その身近な例が「過呼吸」です。
そして、赤ちゃんは生まれて直ぐには歩けず、徐々に体の使い方を学習して、歩いたり走ったり出来るようになるのです。
この様に、体の使い方は脳が学習し、学習して脳内に蓄積できた情報を基に、今度は脳が神経回路を通して体の各部位に指令を出し、体を無理なく動かせるようになります。忘れていた動作も、脳に情報が蓄積された状態なら、意外とすんなり出来るものです。
エンジンの動きも同じようにコンピューターという「頭脳」で制御されているので、コンピューターに書き込まれていない動作は出来ません。このため、燃焼性質の違うレギュラーガソリンがエンジンに入っても、ハイオクガソリンと同じ動きをしてしまい、ノッキングという現象が現れるのです。
未来にはハイオクもレギュラーも関係なくなる時代が来るかも!?
1970年代以前と今では、ガソリンの性質も性能も研究によって飛躍的に向上しており、エンジン自体も改良に改良が重ねられて、高効率な燃焼を実現しているので、定説と言われるものも日々変わって来ています。
自動車メーカーが指定している燃料には、エンジンとの密接な関係があるので、それぞれのエンジンの機構や性能と、燃料の関係を紐解く研究が進めば、ハイオクもレギュラーも関係なくなる時代が来るかも知れません。
しかし、今現在はまだ個別の開発で燃料を指定しているので、車を維持するためにも指定燃料を入れましょう。そして、レギュラー車の維持のためにも、価格を抑えれらるレギュラーガソリンを給油し、ハイオクを入れずに浮いたお金で、マメにメンテナンスする事をお勧めします。
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