目次
自分で手すきして作った和紙で世界にひとつのオリジナルブックカバーをつくるワークショップ

今回ご紹介する体験ワークショップは、とっても中身の濃い充実した体験です。
・親子で本格的なワークショップに参加できる
・【前半】本物の職人さんに教わり、自分で紙すきをして和紙をつくる
・【後半】自分で作った和紙で世界にひとつのオリジナルブックカバーを作る(後日開催)
小学生のこどもと、本格的な体験を親子で一緒にできる機会はいままでなく、ただ子供の体験を見守るだけのことが多かったので、とても充実した時間となりました。
和紙も、1枚作るためにこれだけの手間暇がかかっているということや、きちんと作った紙は1000年以上もつということなど、初めて知ったことばかりでした。
川崎町の 『潮紙』さんで「紙すき体験」
ワークショップは「和紙作り」と「ブックカバーづくり」で前半後半の2日間にわたって行われます。
前半の体験先は、川崎町の笹谷インターを降りてすぐのところにある、手漉き和紙工房『潮紙』さんでの「紙すき体験」です。

まずは本日の時間割の発表

「とうほくこうげいことはじめ」運営の早川さんから、 本日の時間割の説明と、「 とうほくこうげいことはじめ」とはなにか?というお話がありました。
本日の時間割
午前の部の参加者10名が5名5名の2グループにわかれて、和紙作り体験と、外の畑見学を行います。
「とうほくこうげいことはじめ」とは?
東北には、地域の風土に根差した素晴らしい工芸品があります。
しかし、そんな素晴らしい工芸品を、本物の材料・道具をつかって 、親がこどもと一緒に体験したり、楽しんだりできる場はまだまだ少ないのが現状です。
自分たちがわが子と一緒にはじめたい!やってみたい!みんなではじめよう!それが「ことはじめ」です、と早川さん。
和紙の材料「楮(こうぞ)」を知る

今回の和紙づくりの先生は「潮紙」の塚原英男さん。
もともとは仙台市若林区荒浜で和紙を作っていたのですが、3.11の震災で和紙工房は流されてしまいました。
ガレキの中から残された道具を掘り出し、塩やヘドロを洗い流して修理をし、2014年春に、水のとてもきれいな川崎町笹谷に移って和紙工房を再建しました。
「職人さん」というと、無口…ちょっと怖い…という印象を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、「塚原さんはおしゃべり大好きでyoutuberのようです」と早川さんからのご紹介がありました(笑)。
そのことばどおり、塚原さんのお話はとっても楽しく聞くことができました。
塚原さんより「和紙はこうぞという木の皮を使って作ります」と説明があり、実際のこうぞの枝を見せてもらいました。
その後実際に作成した和紙を見せてもらいました。



こうぞの下ごしらえ

塚原さんが白くてフワフワしたものを見せてくださいました。
これは、下ごしらえが終わった皮から取り出されたこうぞの繊維です。
ここまで完成するのに、
・こうぞを育てて、刈り取る
・こうぞを蒸す
・蒸しあがったこうぞの皮をむく
・黒皮を刃物でそぎ落とし白皮にする
・白皮を煮て不純物を取り除く
・白皮を水に浮かべて細かいチリを取り除く
・繊維をたたいて細かくほぐす
という、大変な手間をかけています。


水とこうぞの繊維だけでは和紙にはなりません。
和紙にするために、 繊維を均一に絡ませるのを助ける役目をするものが必要なのです。
トロロアオイを入れる

オクラの仲間である『トロロアオイ』の花の下の根っこを、たたいてつぶして袋の中に入れ、絞り出すと・・・



このトロロアオイを入れることによって、こうぞの繊維が水の中で均等に浮遊するようになり、美しい和紙作りができるのです。
ドロドロしたトロロアオイの液体は触っても何の害もありません。薬品などつかわなくても、安全安心な自然の材料で和紙作りはできるのです。
和紙をもっと詳しく知る
なかなかやぶれない和紙の秘密を知る
「この和紙をやぶいてみて下さい」と言われ、やぶろうとしてみても、和紙はなかなかやぶれません。
実は何枚もの和紙が重なり貼りつけてあるので、とても丈夫な紙となっているのです。


日本で最初の和紙について知る

「日本では和紙は何年前から作られたでしょうか?」
答えは、なんと1,000年!和紙には 1,000 年の歴史があります。
日本で最古の紙は奈良県の「正倉院」にあるとのこと。天皇の為に作られた紙で、なんと 1,000 年以上前に作られた紙です。
丁寧に作られた和紙は、 1,000 年以上、保管することが可能なのです。
いよいよ!紙漉き体験
ひとりずつ交代で、本物の道具を使い、紙漉きの体験をしました。
『かみすきうた』をみんなでうたいながら、そのまま歌詞の通りに、作業を進めていきます。
子供たちは塚原さんと一緒に、大人は部分的に1人で作業していきました。
最後の「ポン」がなかなか難しく、みなさん苦戦していました。










ここまでで、紙漉きの作業の体験は終了です。
工房の裏の畑を探検
次は、こうぞやトロロアオイを育てている、工房の裏にある畑を見学に行きました。
塚原さんは和紙の原料となる「こうぞ」「トロロアオイ」もご自身で育てているのです。
この日はとても真っ青な青空で、空気もとても美味しく、こんな空間で育った材料であれば、とっても上質な和紙ができそう…と思いました。









本日のまとめ
紙すき体験と、自然探索というもりだくさんの内容でワークショップは終了。
こどもたちも、お父さんお母さん、おばあちゃんもとてもいい笑顔になっていました。





実際に体験し、塚原さんにお話を伺って、1枚の和紙を作るためにものすごく手間と時間をかけていることがわかりました。
原材料となる「こうぞ」や「トロロアオイ」を自ら育てるところから始まり、和紙を作りあげる塚原さんの姿に感動です。
この体験をするまで、和紙を1枚作るまでの苦労も知らなければ、宮城で和紙を作っている職人さんがいることすら知りませんでした。
毎日使う紙を和紙にすることはなかなか難しいかもしれませんが、大事な手紙を書いたり、贈り物をするときなどは積極的に本物の職人さんの和紙をつかっていきたいな…と思いました。
潮紙について
潮紙さんの最新の情報は公式facebookページでチェックできます。
ワークショップも1000円~体験可能とのことですので、気になった方はぜひ一度本物の紙すき体験をしてみて下さい。


後半は完成した和紙でブックカバー作り(後日)
今回作成した和紙は、乾燥させて2枚の紙が1枚になって、丈夫な和紙が完成となります。
後日開催されるワークショップでは、グラフィックデザイナーの根朋子さんと、この和紙を使って、自分でデザインしたブックカバーを作成します。
開催しました!体験記事はこちら↓
今回のワークショップを主催されている「とうほくこうげいことはじめ」さんの最新の情報は、インスタや公式ページからチェックできます。
(体験者:クラッチ編集部 石部敦子)
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