駐車時にやりがちな「ハンドルの据え切り」とは?車へのダメージは?やってはダメなの?
ハンドルの据え切りとは、車を停めた状態でハンドルを回すことを言います。駐車の時や方向転換の時に行われます行為です。昔は据え切りはNGといわれていましたが最近はこの言葉自体あまり耳にしなくなってきました。初心者や運転が苦手な方はやってしまいがちな据え切り。車への影響を正しく知って、車に負担をかけずスムーズにハンドル操作を行いましょう。
免許取得歴:6年 今乗っている車種:MINI クロスオーバー クーパーS(新車で購入…
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- 投稿日:2018-4-17
ハンドルの据え切りとは?
あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「ハンドルの据え切り」とは「車が動いていない状態でハンドルを回すこと」をいいます。
車庫入れやバックをする時、車を動かしながらハンドルを切るのではなく、一度車を停めてからハンドルを切り、タイヤの向きを変えてから、再度進んでいくようなやり方が「据え切り」になります。
運転にまだ慣れていない人だと、この据え切りを行なったほうが車の操作が楽になるので、据え切りをしている人もいるのではないでしょうか。
現在は「パワステ(パワーステアリング)」が普及し、油圧や電動モーターにより、ハンドルにかかる重みが格段に減ったので、据え切りは女性や初心者でも簡単に行うことができます。
しかし、昔の車は「重ステ(重いステアリング)」といって、停まっている状態でハンドルを回すのはかなり力のいる作業で、据え切りをすることはとても困難でした。
据え切りをするのも一苦労なので、無理に行なうと操舵装置にかなりの負担がかかり、車の故障の原因になったため、昔は「据え切りはしてはいけない」といわれていました。
ですが今は、パワステがついていればそんなにパワーがなくともハンドルが切れますし、車の性能も良くなって故障しにくくなっています。
初心者の方や運転が苦手な方は「据え切り」をすることで、楽に車を操作することができるので、教習所で据え切りしながらの車庫入れなどを習う場合もあるようです。
据え切りすると車が傷む?据え切りによるダメージとは?
パワステが主流ではない昔の重ステの時代には、無理に据え切りを行なうと、ハンドルに大きな負担がかかるため「据え切りはしないほうが良い」という人が多かったです。
パワステの普及などの技術の進化により、昔よりは据え切りによる車への負担は少なくなってきていますが、やはり据え切りは車に負担がかかる動作ではあるので、ある程度のダメージは発生します。
□ タイヤが傷む
据え切りをした後にアスファルトの地面を見てみるとタイヤの跡が残っていることがありませんか?
据え切りをすると、地面との摩擦でタイヤのゴムが摩耗します。
車が止まった状態で少しだけハンドルを回しただけでも、地面にタイヤの跡がついてしまうこともあるように、据え切りをするとタイヤに非常に大きな力が加わっていることがわかります。
車の重さは1トンほどあります。
停止していると、すべての重さをタイヤで支える状態になってしまいます。
車が動いている状態でハンドルを切るほうが、タイヤへの負担は軽くすみます。
□ ギアやサスペンションに影響を及ぼす可能性も
据え切りをすることで、パワーステアリングオイル(ハンドルを操作しやすくさせるオイル)や電気モーターに負担がかかることがあります。
パワステには「油圧式パワステ」と「電動式パワステ」の2種類があります。
いまは電動式パワステが主流です。
油圧式(電気モーターでポンプを回して、発生した油圧でハンドルをまわすアシスト)の場合、据え切りを繰り返すと、パワーステアリングオイル/パワステフルード(ハンドルを操作しやすくさせるオイル)が高温になり、キャビテーションという気泡が発生する現象が起こります。
そうすると、パワステが利かなくなるなどの現象が起こる場合があります。
電動式(電気モーターのパワーでハンドルをまわすアシスト)の場合、オイルは使用しないためキャビテーションは起こらないのですが、据え切りを繰り返し、パワステに大きな負荷がかかってしまうと、保護回路(保護機能)が働きパワステが利かなくなる場合があります。
パワステが利かなくなったら、しばらくエンジンを停めて温度を下げ、時間を置いてからエンジンをかけ直せば、再びパワステが利くようになることがほとんどです。
できるだけ据え切りをせず車に負担をかけない運転方法とは?
AT車であれば、ブレーキを離すとクリープ現象でアクセルを踏まなくても少し車が進みますよね。
このクリープ現象をうまく利用して、車が少し動いている状態を作りハンドルを回しましょう。
完全に停まっているときに据え切りをするのと比べて、少しでも動いている状態だと3分の1~4分の1程度の力でハンドルを動かすことができます。
タイヤが転がりながら向きを変えていくので、タイヤにかかる負担が大きく軽減されます。
クリープ現象を使用する際はアクセルを踏まずに、いつでも止まれるようブレーキに足をかけておくといいでしょう。
車の据え切りはやりすぎ注意!気をつけて愛車を長持ちさせよう
ハンドルの据え切りは、たまにや駐車の際に少し行う程度なら特に大きな問題にはなりません。
ただし、何度も据え切りしながら駐車したりすることを、頻繁に繰り返すことは避けたほうが、車にとって優しいでしょう。
AT車はクリープ現象をうまく使って、できるだけパワステに負担をかけないような運転がいいですね。
MT車は、車を停める際にタイヤの向きを少し気にして駐車すると、発進時が楽ですよ。
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