2017年7月時点で搭載されている自動運転技術5選を初心者向けにわかりやすく解説!
日本では政府と民間企業が協力し、交通事故死者数を減少させることを目的として自動運転研究を推進する活動が行われています。それに先立って各メーカーからも、すでにいくつかの自動運転の基礎技術が商品化されています。まだまだすべてを車任せにするというわけにはいかないようですが、ドライバーの負担を格段に軽くしてくれる最新機能についてご紹介します。
免許取得歴:20年以上 今乗っている車種:Nissan Skyline(中古で購入) …
- 353
- 1,079
- 投稿日:2017-7-25
目次
2020年までに世界一安全な道路交通を実現するための「自動運転」
日本政府は、「2020年までに交通事故死者数を2,500人以下とし、世界一安全な道路交通を実現する」ことを目指し、SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)という活動の中で、民間企業と共同で自動運転の実現を推進しています。
自動運転に課せられた期待というのは「利便性」だけでなく、「安全性」もなのですね。
2020年に東京オリンピックが開催される頃まで、つまりあとたった2~3年の間に、ものすごい速度で自動運転、自動走行システムの技術は進化を遂げていくことが予想されます。
自動運転とっても基本的な5つの技術を簡単に解説!
あまり聞いたことのない、横文字の用語がたくさん出てくるので、難しく思いがちですが、人間の行動の代わりをしてくれる技術なので、自分の動きとリンクさせて考えると、結構簡単に理解できるものばかりです。
まずは人間で言う「頭脳・眼」の役割となる、
1)レーダー・カメラによるセンシング技術
そしてそれを利用した、
2)速度を自動調整する技術
3)自動的に駐車する技術
4)自動的にハンドルを制御する技術
5)自動的にブレーキを制御する技術
といった代表的な技術について、解説したいと思います。
1.自動運転を支える【センシング技術】
自動運転でいちばん重要なのは、
車がぶつからないようにすること。
ぶつからないためには、危険を認知→次の行動を判断→危険を回避する正しい操作、という流れを行うことが必要です。
人間であれば「眼」で見ることで、危険を認知することができます。
その人の眼の代わりに認知をしてくれるのが、各種センサーによる「センシング(検知)技術」です。
車の周囲に物があるかどうかを感知するレーダーセンサー、そしてカメラによる画像認識によってその物の形状を認識する技術が実用化されています。
また、コストを抑える目的でレーダーセンサーのみ・カメラ一機のみ・レーダーセンサーとカメラ・カメラ2機など、様々な組み合わせもされています。
センシング技術が、すべての自動運転の基盤となるため、とても重要な技術です。
今後のセンシング技術のさらなる発展に注目していきましょう!
2.アダプティブ・クルーズ・コントロール
安全な運転をしてぶつからないために、大事なのことの1つに「車間距離」を保つことが挙げられます。
自動運転では、この「車間距離」を自動で保ってくれる働きを、「アダプティブクルーズコントロール」というシステムが人間のかわりにしてくれます。
自動で、先行車両との距離を測りながら、速度を調節して走ってくれるのです。
レーダーとカメラによるセンシング技術を使用し、先行車を認識したり、距離を計測したりします。
すでに色々な車に搭載されている「クルーズコントロール」(設定した速度をキープしてアクセルを踏まなくても走行する仕組み)と同様に、主にロングドライブをするようなツーリングカー(比較的大きな乗用車)に採用されています。
(街乗りや買いもの用途が主である車に装着しても、あまり使用頻度が高くないので、軽自動車等には装着されていません。)
長距離ドライブや、渋滞時の運転で、アクセルを調節する必要がないので、ドライバーの疲労やストレスを大幅に軽減してくれる、素晴らしい機能です。
3.パーキングアシスト
車庫入れ時や、駐車場への駐車時に、「あ、ぶつけちゃった!」という経験がなくなります!
縦列駐車時に、「いつまでも駐車ができない!時間に間に合わない!」ということもなくなります!
専用駐車場などの走行中に左右の空き駐車スペースを見つける機能、車庫入れ時に自動的にハンドル操作をしてくれる機能 が、この「パーキングアシスト」です。
すでに、一部の車で実用化されています。
こちらも、周囲の空間を認識するためにカメラの画像検出技術が利用され、縦列駐車と通常のバックによる車庫入れの両方に対応しています。
日産車を例にとると、周囲を見下ろすアラウンドビューモニターの映像から駐車位置や方向を選び、駐車を開始します。
運転手はその間、アクセルとブレーキを操作するだけでOK、ハンドル操作はすべて自動車任せにすることができるそうです!
ですが実は、筆者はこのシステムをいくつか試したことがあります。
その際、狭いスペースを認識してくれなかったり、思うような位置に停められなかった経験があります。
私は車庫入れが得意な方なので、まだまだパーキングアシスト機能には負けない自信がありますが、今後より精密になったら、車庫入れが苦手な人にはとても良いシステムになるのではないでしょうか!
4.レーンキープアシスト
「車線をはみ出して対向車線の車に追突」などの事故のニュースをよくみますよね・・・。
この機能があれば、そんな事故はなくなります。
レーンキープアシストとは、高速道路の白線を検知して、現在のレーンからはみ出さないようにする機能です。
従来の技術は、レーンをはみ出すと警告をするだけの「車線逸脱警告」でした。
ですがそれにハンドル操作を補助する機能が追加され、レーンに沿って走るときの負担が大きく軽減されるようになりました。
このハンドル操作の補助機能は各メーカーによって補助の程度が異なり、ハンドルを切ろうとしてくれるものや、あくまで補助に徹するものなどタイプが異なります。
例えば日産セレナに搭載している「プロパイロット」は、作動にいくつか条件はありますが、他社と比較するとすすんハンドルを切ってくれるタイプのアシストをしてくれます。
レーンキープアシストを実現するためには、道路に引かれた白線を認識する必要があります。
そのため、前方カメラを使った画像解析処理が必要となります。
この機能もアクティブクルーズコントロールと同様に、ロングドライブに適したツーリングカーに搭載されている機能です。
一例をあげますと、日産・セレナ、ホンダ・アコード、マツダ・アテンザ、スバル・ルヴォーグなどに搭載されています。
5.ブレーキアシスト
この機能はCMなどでもたくさん紹介されているので、ご存知の方も多いと思います。
前方の障害物を検出して、ブレーキを補助する機能です。
運転手が「ブレーキを踏む意思があるか/ないか」を、運転手が「障害物に気づいているか/いないか」に置き換えてブレーキを補助する強さを調節します。
本当にこのままではぶつかりそうなときは強い補助力でブレーキを制御し、見落としているとシステムが判断したときには強力にブレーキを掛けます。
いくつかの車は前方のブレーキだけでなく、バック時のペダル踏み間違いの場合にもシステムが自動的にペダルの踏み込みによる燃料噴射量を抑制します。
特にペダルの踏み間違いは高齢者に多いです。
高齢者が普段利用する車は、軽自動車から普通乗用車までさまざまですが、維持費の面や扱いの良さからも軽自動車を利用する機会は多いと予想されます。
そのため、スズキやダイハツなどの軽自動車メーカーは積極的にこの機能を採用しており、新車で購入する場合には、多くのモデルでこの機能を選択することができるようになっています。
番外編 ダイナミックマップ
SIPの活動の中では、「ダイナミックマップ」という、道路形状などを詳細に知ることのできる地図の開発も推進されています。
この技術は2017年7月現在では策定中のため、あまり詳しく知ることはできませんが、やがて市販車にも使われてくることがあると思われます。
自動運転車はカメラ画像に頼るだけでなく、この詳細地図によって完全な基礎道路形状を把握することができるようになるわけです。
自動運転技術は今後の進化に期待!
いかがでしたか?この5つの機能がすべて搭載されれば、日常の運転のストレスや疲れはとても軽減されて、安全な車社会が訪れるイメージがわいたのではないでしょうか。
2017年現在、運転のすべてを車に任せることができる自動運転技術は、まだ日本では実用化されていません。
ですがこれら1つ1つの技術を装備することで、運転者の負担を大幅に軽減することは可能です。
現在SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)では、2020年にレベル3の自動運転実現を目標としています。
これは条件付き運転自動化と呼ばれ、「システムがすべての運転タスクを実施する(限定領域内)」と規定しているものです。
2020年東京オリンピック開催の目玉として、お台場や豊洲辺りの高速道路で自動運転バスが走るのでは?と、ちょっと期待してしまいますね。
■こちらの記事もオススメです!
このあとによく読まれている記事
クラッチのカテゴリー一覧
当社は、この記事の情報(個人の感想等を含む)及びこの情報を用いて行う利用者の判断について、正確性、完全性、有益性、特定目的への適合性、その他一切について責任を負うものではありません。この記事の情報を用いて行う行動に関する判断・決定は、利用者ご自身の責任において行っていただくと共に、必要に応じてご自身で専門家等に相談されることを推奨いたします。