
コネクテッドカーって?どんなことができる車なの?最新事情をわかりやすく解説します!
車関係のニュースなどで最近聞くようになってきた「コネクテッドカー」。できるだけ専門用語を使わずに、わかりやすく解説してみたいと思います。 connectedは和訳で連結すること。「つながる?」「つながった?」とはどんなことなのでしょう? なんとなく、ネットワークにつなげることができるというのはわかるのですが、それによって車はどんなことができるようになるのでしょうか?

免許取得歴:20年以上 今乗っている車種:Nissan Skyline(中古で購入) …
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- 投稿日:2017-5-29
目次
コネクテッドカ―ってなんですか?
最近、ニュースやモーターショーなどでときどき耳にするようになってきた言葉じゃないでしょうか?
「コネックテッドカー」ってなんなんでしょうか?
直訳すれば、(ネットワークに)つながった車、これがコネクテッドカーです。
ちょっと総務省のページを見てみました。
コネクテッドカーは、「ICT(Information and Communication Technology)機能を有する自動車のこと」と説明しています。
※ICTとは「IT(情報通信技術)」とほぼおなじ意味で使われている用語です。
「なんだ!それだけー?」と思った方が多いと思います。
これでは「通信機能がある車はなんでもコネクテッドカーだねー」ということで、特別珍しい/新しいものでは無いように感じませんか?
本当に最近になって「コネクテッド」という言葉がでてきましたが、ちょっと前には「カーテレマティクス」とか、「オンラインサービス」などという言葉が流行った時期もありました。
この辺りの違いはなんなんのでしょうか?
筆者が思うに、「カーテレマティクス」は、車において通信を利用した各種サービスの総称。
「オンラインサービス」は、特に車から通信を使ってデータを検索したり、サービスの注文決裁をしたりするサービスの総称。
これに対して「コネクテッドカー」は、カーテレマティクスから一歩進んだ技術・サービスというとらえ方でよいのではないかと思います。
特に、「車の自社位置情報をネットワーク上に送信して活用する」ことによって、車の位置や状況に応じたさまざまなサービスを提供できるところが特徴です。
車がどこへ行っても常にサービスを提供できる。
つまりいつも「つながる=コネクテッド」。
これが今話題の「コネクテッドカー」が表しているイメージなのです。
コネクテッドカーの市場規模は2025年に日本で954万台にも!
総務省によると、2014年の世界市場は1,300万台、日本だけでも167万台でした。
最近は、スマートフォンのテザリングを利用したさまざまなアプリケーションが増えていることから、これらも含め2025年には世界で6,500万台、日本で954万台の普及が見込まれます。
(※ここでは単純に、ネットワーク接続機能を持つ車の台数としてカウントしているようです。)
コネクテッドカーが急拡大している3つの背景
この急拡大の背景をまとめると次の3つがあげられます。(総務省の白書より)
1)無線通信の高速・大容量化、リアルタイム通信が可能
これはみなさんが、日ごろスマートフォンを利用していて感じていることだと思いますが、数年前と比較するだけで、その情報処理能力や通信のリアルタイム性(すぐに返答が来る)には、驚かされます。
2)車両情報通信端末の低廉化、スマートフォン等による代替化が進んでいる
通信機能付の車載機器が安価に作れるようになるのと同時に、スマートフォンも普及が進み、スマートフォン単体でもさまざまな車関連機能を持つようになってきたことです。
3)クラウドコンピューティングの普及により、大量のデータの生成・流通・蓄積・分析・活用が可能になったこと。
特に車の自車位置情報を処理する交通情報システムは、トヨタ・日産・ホンダなど各社が行っており、市場で走り回っている大量の車の位置情報を収集して、より正確な渋滞情報の生成に利用されています。
コネクテッドカーって具体的には何ができるようになるの?
ではもう少し具体的に、コネクテッドカーでは、どんな機能が使えるようになるのか解説していきたいと思います。
1)オンライン目的地検索
これはすでに通信カーナビをお持ちの方は体験済みかもしれません。
カーナビに搭載されているデータベースだけでなく、オンラインサーバーに登録されている膨大な施設情報から目的地を検索し、車側のカーナビで利用することができます。
このくらいの機能では、あまりコネクテッドカー独自の機能であるとは言えません。
(単に、「通信機能があるカーナビ」という範疇の機能です。)
2)自車位置情報の収集による交通情報システム
トヨタのT-Connect, 日産のカーウィングス, ホンダのInternavi, パイオニアのsmartloop等で実施されている交通情報サービスです。
それぞれの対応カーナビを搭載した車から、位置情報を取得し、それらを解析して各メーカー独自の交通情報としてカーナビなどで利用するものです。
知らず知らずのうちに利用している、コネクテッドカーの代表的な機能の1つです。
3)オペレーターサービス
トヨタT-Connect, 日産カーウィングスなどに搭載されている機能ですが、オペレータと直接会話し、通信機能によってカーナビに目的地情報をセットしてもらうというものです。
人とのコミュニケーションが間に入るとういのは、ちょっと意外ですが、機械による認識に比べれば、より融通が効いて確実ですね。
オペレーターは、車の位置情報を知ることができるので、さまざまな要求に応えてサポートしてくれます。
「近くのレストランを探して…」に始まり、いろいろ複雑でわがままな要求に対しても柔軟に対応ができるようです。
4)目的地のおすすめやコンピュータとの対話システム
こちらは、オペレーターが仲介せず、完全にコンピューターが計算して対話するものです。
走行中の自車位置、進行方向や、最近の運転履歴などを参照して、おすすめの目的地を提案してくれます。
iPhoneのSiriやスマートフォンで体験する対話のようなやり取りで、話すだけで目的地を設定することもできます。
従来からある音声認識機能は、デバイス本体の処理能力を使って、人の声を認識していました。
最近のスマートフォンに搭載されるオンライン音声認識サービスは、ネットワークに接続された高性能コンピューターによって計算され、さまざまな人の特徴情報を基に解析を行っており、非常に高い音声認識性能を持っています。
※こういった言葉で対話して問題解決をするコンピューター機能のことを、「エージェント」と呼んでいます。
5)エアバッグと連動した救急サービス
これはトヨタやホンダが一部の車で採用している技術(HELP NET)です。
エアバッグが動作するような衝突事故が発生すると、自動的に専用のオペレーターに電話がつながります。
そしてこの電話の通話内容を考慮して、オペレーターが必要に応じて消防に救急車の出動要請をするという仕組みです。
ドライバーが元気で話ができるようであれば、救急車は要請せず、もしも応答が無いとか、うめき声しか聞こえないという場合には、救急車を出動要請するといった具合です。
自動的にGPSによる自車位置情報がコールセンターに発信されますので、事故現場の位置説明は不要です。
6)走行スタイルに応じた自動車保険(テレマティクス保険)
たとえば、車の自車位置情報を常時解析することにより、普段から安全な走行をしていると判断されると、保険料が割り引かれるサービス等が検討されています。
年間走行距離が比較的短いといった情報も自動的にわかりますので、これらも割引の対象になるかもしれません。
7)オンライン故障診断
たとえば車に何かのトラブルが発生した場合など、オンラインで車の状況をチェックしてもらい、故障診断をすることができるというものです。
特定した故障状況に応じて、近隣の修理センターを紹介することも可能です。
これらは、トヨタが先日発表した、コネクテッドカンパニーで実施する機能の1例として紹介されました。
この機能は、新型プリウスPHVで採用されるのだそうです。
8)自動車のレンタル・カーシェアリング
車のキーを簡単に・安全に受け渡しできれば、レンタルやカーシェアリングはより便利に使えます。
これを実現するための基礎技術も、コネクテッドカーによって実現されます。
個人のスマートフォンをキーの代わりして運転できるようにするのと同時に、レンタルでは大事な、車の位置や燃料の量なども通信によって常時監視することができるようになります。
ここまでに解説した機能については、一部の車ではすでに実現されていたり、まもなく実現されて普及していくものばかりです。
コネクテッドカーの国内メーカーの動向
車の位置情報を使った交通情報生成機能については、トヨタ、日産、ホンダ各社が以前より行っていますが。その他の機能については各社異なってきます。
1)トヨタ
昨年11月にトヨタは、コネクテッドカンパニーを立ち上げ、専用基盤技術の開発とサービス実施のために本格的な事業展開を始めました。
衝突時のエマージェンシーサービスであるHELP NETや、故障診断のe-callサービスなど国内では他社を一歩リードしています。
2)日産
従来から、日産の通信型サービス「CarWings」においては、オペレーターコールを中心にサービスを展開してきました。
3)ホンダ
古くからInternaviと呼ばれる、車の位置情報を収集して生成する交通情報システムのサービスを実施してきました。
ホンダの車でも、トヨタと同じHELP-NETに対応している車があります。
コネクテッドカーの海外メーカーの動向
4)BMW
輸入車メーカーの中では、一番力を入れているのがBMWです。
スマートフォンから遠隔操作によるドアロック、ライトの点滅、エアコンの起動などをサポートしています。(BMW コネクテッドドライブ)
また、車の位置をスマートフォンの地図上に表示することも可能です。
さらに、BMWテレサービス機能では、メンテナンス時期が近づくと正規ディーラーに情報を自動送信。
また、バッテリー電圧を常にチェックして、(電装品の消し忘れなどによって)規定電圧を下回ると、自動的にオーナーに知らせてくれる機能もあります。
5)GM
OnStartというサービスを米国他で展開しており、ドアロック、ロック解除、ガソリン残量などを知ることができたり、オンラインのさまざまなサービスに対応しています。
残念ながら日本ではこのサービスは展開していないようです。(販売台数が少ないので)
GMはIBM社と提携して高度な人口知能技術を手にいれました。
ユーザーの好みや状況に合わせた判断を学習していくような仕組みとして、OnStartに統合されていくものと考えられます。
6)Audi
専用の通信モジュールを標準装備している輸入車は、実はごく1部だけです。
Audiはそんなクルマの1つです。
Audiのシステムは、オンラインを利用したさまざまなサービスに対応しています。
7)Mercedes-benz
高級車のSクラスでも、通信モジュールは装備していません。
よって各自のスマートフォンを持ち込むことによってテザリングし、通信機能を動作させることになります。
インターネットラジオやブラウザ等の通信機能に対応していますが、コネクテッドの要素を持ったサービスは、これからのようです。
コネクテッドカーの今後の予測
カーテレマティクスが盛んに唱えられた時代から、コネクテッドカーの時代へ、今、さまざまなオンラインサービス(通信)サービスが展開されようとしています。
そしてその次の大きなステップが自動運転。
自動運転にも各社さまざまな技術が使われていますが、日本で政府を中心に検討されている方式は、Dynamic Mapと呼ばれる高精度な3D地図を使う方式です。
現在、高速道路を中心に、道路上のあらゆる物体が地図情報として準備されようとしています。
これを利用することで標識や道路ペイント、レーン形状、道路の斜度等さまざまなデータを取得して利用することが可能です。
これらの3D地図データ情報と、実際に走っているときのセンサー情報を統合して計算処理することにより、完全な(人に頼らない)自動運転を可能にしようとしています。
道路の高精細情報は、非常にデータ量も大きく、頻繁に更新される必要があるデータですから、サーバー上から最新のデータを常に取得する必要があります。
そのため、常に車とサーバーが「つながっている」必要があるのです。
まだまだ完成された自動運転までの道のりは長いのですが、自動運転は究極のコネクテッドカー技術と考えられるのではないでしょうか?
今後の車の選択基準としてもコネクテッドカー技術はより重要に
「コネクテッドカーとは何か?」そしてその機能や市場・技術動向についてまとめました。
やや専門的な用語が多かったと思いますが、ご理解いただけましたでしょうか?
車に通信機能を搭載して、オンラインで問合せをするようなシステムに始まったカーテレマティクスの技術。
これに次のような技術が加わって、「コネクテッドカー」と呼ばれるようになりました。
1)「膨大な演算能力を持つサーバーとの連携」
2)「高速な応答性(すぐに答えが返ってくる)」
3)「車の位置に応じた・位置を利用したサービス」
今後の車の選択基準として、コネクテッドカー技術が重要な要素となることは間違いなさそうです。
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