
任意保険と自賠責保険の違いって?【3ステップでわかる自動車保険】その1
まずはここだけは知っておこうという基礎の基礎を、専門用語を必要最小限にとどめて、順を追ってやさしくご説明します。自動車保険って、ややこしそうで苦手と思っている人も多いと思います。 たしかに、法律用語や専門用語だらけで、とっつきにくいですよね。 専門用語の多くには「自」や「傷害」など同じ漢字が使われているので、一瞬見ただけでは、どれがどれやら混乱するのはあたりまえです。 自動車保険を理解するには、自動車保険の必要性と仕組みを知ることが近道です。 勉強でも一気に応用問題を解けと言われても、無理な相談。 1回目は自動車保険の2本柱である「自動車保険」と「自賠責保険」についてです。

免許取得歴:24年 今乗っている車種:SUBARU アウトバック(新車で購入) 車に対…
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- 最終更新日:2017-4-5 / 投稿日:2017-2-22
目次
自動車保険はなんのためにあるの?
これだけ自動車事故が身の回りに溢れているにもかかわらず、私たちは心のどこかで
「自分は事故に遭わない」
と思って暮らしています。
しかし、残念ながら、どんなに安全運転を心がけていても、
100パーセント事故を防ぐことはできません。
そして、ひとたび自動車事故が起きると、大なり小なり必ず損害が発生します。
小さいケースでは自動車の修理費ぐらいで済むでしょう。
これなら貯金でまかなえるかもしれませんね。
でも、大きいケースでは、事故の被害者が不幸にして亡くなることもあります。
その場合、加害者には遺族への賠償が発生し、経済的負担はとても大きなものになります。
またもし加害者が賠償金を支払えなかったら、被害者側のその後の生活はどうなってしまうでしょうか?
想像しただけでもこわくなりますよね。
そんなときのために、自動車保険があるのです。
自賠責保険(じばいせきほけん)は義務
自動車保険は、運転する人すべてにとって必要な保険です。
でも、入っても入らなくてもいいものであれば、入らない人も当然出てきます。
理由はいろいろ考えられますよね。
- 「お金がもったいない」
- 「自動車保険は必要だと思うが、保険料を払う余裕がない」
- 「自分は安全運転をしているから、事故は起こさない」
しかし、事故は偶然の産物でもあります。
みなさんは「もらい事故」という言葉をご存知ですか?
もらい事故とは、事故が発生したことについて被害者側に責任がない交通事故のことをいいます。
- 具体的には「信号待ちで停車中に、後ろから追突された」
- 「駐車場に車を停めていたら、ぶつけられた」
のようなケースです。
これは、運転する側がいくら気をつけていても防げることではありませんよね。
当社の過去の実績から、事故のうちおよそ3件に1件が「もらい事故」であると推計されています。
ソニー保険のデータによると、なんと事故のうちおよそ3件に1件が「もらい事故」と推計されるそうです。
やはり、運転者全員が保険に入っておかなくては、車社会がなりたちません。
そこで、国が車を持つ人を強制的に加入させる保険を作ったのです。
それが自賠責保険です。
強制的に加入させることから「強制保険」とも呼ばれ、加入せずに運転すると下記のように厳しく罰せられます。
■自賠責保険に加入せず運転した時の罰則
- 1年以下の懲役または50万円以下の罰金
- 免許停止処分(違反点数6点)
自賠責保険は、交通事故による被害者を救済するため、すべての自動車に加入することが義務付けられている強制保険です。
ですから、原動機付自転車なども対象になっています。
自賠責保険の補償は、相手の身体に対してだけ
自賠責保険は、交通事故による被害者を救済するための公的制度ですので、どの保険会社を通して加入しても、保険料は変わりません。
また、公的制度であるため、補償範囲や補償額が限定されています。
ポイントは「人身事故だけが対象になる」ということです。
簡単に言えば、事故の相手の身体に関する損害しか対象となりません。
そして補償額が上限を超えてしまった場合は自己負担となります。
相手方の物や自分の身体・物に損害が出ても、保険金は支払われないのですから、それらへの備えは、別に用意しておく必要がありますよね。
払われる保険金の限度額はいくら?
- 死亡 :3,000万円
- ケガ :120万円
- 後遺障害:後遺障害の程度に応じた等級によって75万円~4,000万円※
これで、足りるのでしょうか・・・。
実際に人身事故を起こした時の賠償額は1億円以上になることもざらで、対物賠償でも1億円を超えることもあります。
全然足りませんね!
では、どうしたらいいのか?
そのためにあるのが、CMなどで良く見る、いわゆる自動車保険(任意保険)なのです。
一般に自動車保険と呼ばれているのは任意保険
一般に自動車保険と呼ばれているのは、この「任意保険」です。
自動車保険という言葉には広い意味で使われる時と、狭い意味で使われる時があり、これが自動車保険をわかりにくくしています。
- 広い意味での自動車保険 = 自動車保険全般(自賠責保険+任意保険)
- 狭い意味での自動車保険 = 任意保険
「任意保険」とは、自賠責保険ではカバーしきれない損害を補償する保険です。
任意(当人の自由意思にまかせる)で加入するので「任意保険」と呼ばれます。
ですから強制ではなく、必ずしも加入する必要はありません。
加入していなくても運転はできます。
しかし、ひとたび事故に遭った場合、事故の相手の身体以外への損害は、任意保険でカバーするしかないのが現実です。
任意保険の補償内容はバラエティ豊か
任意保険は主に以下の7つの保険から構成されています。
漢字だらけなので、拒絶反応を起こす人もいるかもしれませんね。
でも、もう一度ゆったりとした気持ちで見てください。
保険名が、そのまま補償内容を表していることが、おわかりになるかと思います。
まさに「読んで、字のごとし」です。実はわかりやすいのです。
別に暗記する必要もありません。
■任意保険の主な7つの保険の種類
- 対人賠償保険(相手方の身体への補償)
- 対物賠償保険(相手方の物への補償)
- 人身傷害補償保険(自分・搭乗者への補償)
- 搭乗者傷害保険(自分・搭乗者への補償)
- 無保険車傷害保険(自分・搭乗者への補償)
- 自損事故保険(自分・搭乗者への補償)
- 車両保険(自分に車への補償)
これらの保険を組み合わせ、パッケージ商品として発売しているところがほとんどです。
オプションとして、さまざまな特約も用意されており、利用者のニーズに合わせて、カスタマイズ(最適化)することができます。
必ず入っておきたい任意保険
万一事故を起こしたら、自賠責保険の補償内容だけでは足りないことがわかっているので、大多数の人は任意保険に入ります。
しかし、残念ながら、入っていない車もまだまだあります。
自動車保険(任意保険)の直近10年間の加入率の推移(2005-2014)
平成26(2014)年度の任意の自動車保険の全国平均の加入率は73.8%(自動車共済を含めると約80%)です。
10年間みてみましたが、それほど増えているわけではありませんね。
人身事故を起こした時の賠償額は1億円以上になることもざらです。
対物賠償でも1億円を超えることはさほど珍しくありません。
「対人・対物は無制限」は常識と思われていますが、
実際は5台に1台が、任意保険に入っていないことになります。
怖くなりますね。
5台に1台は任意保険に入っていない・・・もし事故を起こしたらどうなる!?
経済的に毎月の保険料を支払うのが厳しいので、任意保険には加入しないという人もいますが、死傷事故を起こして、億単位の補償が必要になったらどうするのでしょう。
一生働いても払いきれないというその状況は、相手側の人生だけでなく、自分や家族の人生をもメチャクチャにしてしまいます。
車に乗る以上は、必ず任意保険にも加入するようにしましょう。
今回はこの「4つのポイント」だけ覚えればOK♪
以上、自動車保険と自賠責保険についてご紹介してきました。
まずは、次の4ポイントだけ覚えていれば大丈夫です。
- 自動車保険には「自賠責保険」と「任意保険」の2種類ある
- CMなど世間一般で自動車保険と言われるときは、任意保険のことを指す
- 自賠責保険は義務で、補償は最低限
- 自動車保険(任意保険)は自由だが、富豪でもない限り、加入するべき
参考:日本損害保険協会 - SONPO | お役立ち情報 - 損害保険の解説 - 自動車保険
■【3ステップでわかる自動車保険】その2、その3もチェックしよう!
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